ため息を一つつき、光は、既に外へ出て行ってしまった山崎の背中を追う。


――そこには、必要以上の関わりを拒否しているのは紛れもなく光だが、嫌われたくないと思っている光もいた。


(……いい性格してるよな、私は……)と、自嘲して強張って全身に入っていた力を静かに抜く。


「ほら、早よせえ」
少しだけ顔を振り向かせた山崎が、少し唇を綻ばせて光を急かした。


「うん」


2人は横に並ぶと、島原の明かりや月光から身を潜めるように、限りなく気配を殺してその場を去った。


こうして、人斬りを暗殺した下手人は、闇夜に紛れるようにして京の街に消えていったのだった。











血に濡れたように煌めく、一振りの蒼い日本刀。息絶えた男の側にあったそれは、空気に溶けるようにして、





――スッと消えた。