――2――
しばらく沖田に従って屯所までの道を歩くと、ある屋敷らしき門の前まで来て、一行はおもむろに止まった。
もしやここが……、と思い至り、沖田にちらりと横目で視線を送ると、満足そうに頷いている様子が見てとれた。
(やはり……屯所だな)
脱力感に捕らわれた光は、他の誰にも分からないように、堪え切れなかった嘆息をそっと吐いた。
――来たくはなかった。
だがその希望は、今、目の前にいる壬生狼の天才剣士によって、あっさりと崩れ去ってしまったのだ。
「……申し訳ありません、沖田さん。この後、少々用事があるのですよ。事情を説明致しますので、早々に帰らせて頂けませんか」
少し不機嫌さを滲ませて言うと、沖田はぼんやりと光の顔を見て、生返事を返した。
「…………あ、はい」



