「副長。光はこれが初めての任務です。きっと緊張しているのだと思います」


言いよどんだ光をさり気なく庇ったのは、それまでのやりとりを静かに聞いていた山崎だった。


それを聞いた土方は、そうだったな……、と納得したように頷いて比較的表情を優しいものに変えた。


「――頼む」

「はい」と、そろって返事を返す。


話は終わったようであったので、光は山崎と共に部屋をそっと後にしようとしたが、土方が呼び止めた。


「井岡、芹沢さんがお前を気に入って、今度酒でも呑みたいと言っててな……。お前、どんな関係だ?」


「芹沢局長が?……少しやり合いはしましたが」


初めてあったあの日。嫌われる事こそすれ、特に気に入られるような事はしていないはずである。


困ったように笑い頭をひねっていた光だが、もはや聞き慣れた、呆れているようなため息が部屋に響き渡った。


「お前はほんまに……心臓に悪いわ……」