「……強くなったな、光。昔に比べたら、また随分と隙が無くなって良い」


「だろう?」


誉められた事が嬉しくて、光は胸を張り、唇に挑戦的な笑みを滲ませた。それを見た山崎は、微かに微笑んだ。


「――昔にしては、だがな」
そう言って浮かれかけた光の気持ちに釘を刺すことも忘れない。


(私は……本当に強くなったのかな)
ポツリと胸の内で呟くと、胸が痛んだ。



殺しに手を染め始めた二年前から、心が弱くなった気がする。今は強い意志も何も、持ってなどいないのだから。


ただ、復讐という暗い思いに突き動かされているだけである。それは時折、まるで足枷のように光を絡め捕り、動かさない。


山崎には不敵に笑んだのだが、本当は不安で堪らないのである。自分の弱さから目を背け、自分は強いと言い聞かせているのだ。



「また、稽古しよう」


「……うん」



強くなりたい。
心から強くなりたい。


兄のように慕う山崎を見て、そうありたいと切に願うのだった。