「……俺が居なくて寂しかったんやろ?」
少し悪戯な笑みを浮かべる山崎は、疲労など感じさせないように、口元をそっと緩ませて光を見た。


「…………」頬に朱が走る気がしたが、光は俯いて小さく頷く。「うん」


「お前、人見知りやしな」


よしよし……、と頭を撫でる山崎からは、未だに子供扱いが抜けないようだ。触られたことに身を震わせる光だが、逃げることはせず、その場にじっとしていた。


「しばらくは非番や。せやけど……長人の入洛が増えとるし、なんや――えらい事が起こらん限りはな」


「なら……稽古しないか?」


推測にすぎないが、この壬生浪士組で総合的に一番強いのは山崎に違いない。


監察で一番優秀なのは山崎なのだ。彼の情報収集能力と武術にかかれば、壬生浪士組はあっという間に瓦解してしまうだろう。


光の知る限り山崎は“三番目”に強い。


「……私は強くなったよ」
小さいが、強い意志を感じ取れる声で言うと、山崎は噴き出すように笑った。


「お前、俺に一回も勝てたことないやん……ま、ええわ。稽古つけたる」

「本当!?」


笑いながら了承した山崎に、光は喜びの声を上げる。久し振りの同門との稽古に、嬉しさのあまり、光は全身から震えがこみ上げてきた。


「お前の指導係は俺や。監察方の訓練な」