新撰組のヒミツ 壱

「成る程。質問ですか……それはそれは」


酷い尋問、もしくは拷問の間違いじゃないのか――とは、とてもじゃないが言えるわけがなかった。


噂には聞く壬生浪士組。どうやら江戸から来たらしい彼らには、この天皇のお膝元である京の街には受け入れられなかったのだ。


京の治安を守る筈の彼らは、今や、京の壬生に住む狼――“壬生狼”として嘲りを受けて、忌避されている。


その噂をかねがね聞いていた光も、あまり壬生浪士組にいい印象を抱いてはいなかったのである。


にっこりと笑う青年に、光はどう反応すればいいか分からず、曖昧に苦笑するだけであった。


「――……ですから貴方にも質問があります。状況説明を屯所で伺いますから、同行して貰いますね」


「…………………………」


屈託のない無邪気な笑みと吐かれた言葉に、光は思わず身体を硬直させた。


(興味本位と偽善心で関わるんじゃなかった……)と、遅まきながら過去の自分を反省する光だった。