ざぶざぶと川からはい上がった狼は、なおも赤ずきんを諦めません。 「そうだ、あの子のおばあちゃんの家に先回りして待ち伏せしてやる」 森の中の近道を全速力で突っ走り、山奥のおばあちゃんの家までたどり着きました。 まだ赤ずきんは来ていないようです。 狼は精一杯赤ずきんの声を真似て言いました。 「おばあちゃん、わたし、赤ずきんよ。お見舞いに来たの。ドアを開けてちょうだい」 誰がどう聞いても、新宿2丁目にいそうな人の声です。