天使になりたい。
ただそれだけを伝えたい。
白羽が最も伝えたい言葉。
いつ逝っても"天使"と言う言葉を聴く度に、思い出してほしい。
忘れてほしくない。
かすれる意識の中で、毎回必ず言葉を放ってから意識を失す。
それを見る度に、胸が締め付けられる。
「……白羽……心配しなくてもお母さんは忘れないよ……忘れるはずないじゃない……」
――8月
夏休み
暑い日が続く。
……だるい……。
白羽うちわをあおいでいた。
そんな時だった。
急に襲ってくる痛み。
「……っくっ……」
呼吸困難。
胸の辺りを強く押さえつけ、ただ必死でたえる。



