そんなときに、誰かが手を優しく包んだ。
『……彩喜くん……』
『大丈夫、俺がついてる』
優しく話してくれた。
ゆっくり話を聞いてくれた。
安心出来た。
彼氏になってくれてありがとう。
風邪が治ってから二週間後、その時はやってきた。
「っく……ケホッゴホッ」
「白羽!?」
「天使!?大丈夫か?」
激しく咳き込む白羽。
3月はもう目の前なのに。
「っあ……」
「「白羽!?」」
「……彩喜………お願い……」
ついに頼んでしまった。
「……頼まれた……。おばさん、とにかく救急車呼んで。俺は白羽に頼まれたことがあるんだ」
「わ、わかったわっ!」



