「彩喜くん……私を、よろしくお願いします」 決心がついた。 思い出を作ろう。 最後くらいはわがまま言ってもいいよね? 最後くらいは好きなことしていいよね? 恐怖が消えた。 フッと消えたの。 ……恐怖を忘れたような感じで、ど忘れしたようにスッと消えた。 彩喜くんが消してくれた。 彩喜くんは笑って言ってくれた。 「喜んで」 それから、二人は付き合い始めた。 人生最初で最後の彼氏。 でもね、それは内緒なの。 みんなに心配かけたくないから。