私を悪く言うのは、ムカつくけれど。周防くんを悪く言われるのに比べたら、全然マシ。 周防くんを、可哀想? 「愛は天秤で計れるものじゃないんだから! それに、人類全員が平等なわけ無いでしょう!みんながみんな、慶睡みたいに軽い恋をしてるわけじゃないんだからね!?」 慶睡を押しのけて、階段を下る。近くのサンダルを突っかけて、玄関の扉を開いた。 大晦日だ。 寒く無いわけが無い。 「姉ちゃん!」と怒鳴る声が背中にかかる。 それでも、コートも着ずに外へ飛び出した。 出てきて、すぐ後悔した。