青い向日葵



「僕が事故に遭う二日前にね。僕さ、春野ちゃんが雨に打たれて校門のところに立っているのを見かけて、声かけたんだ」


記憶を手繰り寄せるのに、時間はかからなかった。


俺が追試だった日、窓から見たあの二人の光景だ。


あれは、待ち合わせじゃなかったんだ。


「あの日さ。春野ちゃん、誕生日だったんだって。だけど、家に帰ったら父親と継母が……その、お楽しみ中だったのを目撃してしまって、家を飛び出してきてたんだ」


それを聞いて、春野の家に行った時のことを思い出した。


ぼろくて狭い散らかった部屋に、咥えタバコの下品なあの女。


「わたしには、居場所がないのって」


俺は静かに杉本の話に耳を傾けた。