「大野くんも、サラリーマン?」 「ああ。一応な」 「僕ら、大人になったんだね」 そう言って、杉本はにっこり笑う。 「大野くん、昼ご飯食べた?」 「あ、いや、まだだけど」 「ああ、じゃあちょうどいいや。ここの2階の喫茶店のランチ、けっこういけるんだよ。一緒にどう?」 「あ、う、うん」 完全に杉本のペースに巻き込まれた。 昔もそうだった。 この無垢な感じに引き込まれてしまうのだ。 「じゃ、行こ」 そう言うと、杉本は慣れた手つきで車椅子を動かした。