「まだ6限目が残ってるよ?」 「お前は教室に戻れよ」 少し突き放すような言い方をしたせいか、それとも教室にいる増田を思い出したのか、杉本は一瞬眉をひそめた。 「……今日は僕も帰る」 どこまで純朴な奴なんだ。 別に増田を振ったからって、お前が悪いわけじゃねぇのに。 何食わぬ顔して、おとなしく授業を受けてればいいじゃんか。 「好きにしろ」 そう言い残し、その場を去りかけた時。 「大野くん、カバンは?」 後ろから聞こえたその声にはっとした。