それを聞いて、俺は増田が抵抗しない理由が少しわかった気がした。
こいつは俺を利用して、自分の中の醜いものを上書きしてやろうとしているのかもしれない。
それを最低だと言うのなら、俺だって同じだ。
目の前で喘いでいる増田を見下ろしながら、手が届かない純真な春野のことを思っていた。
杉本への罪悪感を感じながら、しっとりと汗がにじむ増田の体を貪(むさぼ)っていた。
艶(なま)めかしい彼女を見れば見るほど、自分の行為が汚らわしく思えた。
自分の行為が最低だと思いながら、それでも彼女を抱いた。
必死で、埋めようとした。
潤そうとした。
そうしなければ、俺自身が枯葉のようにからからになって、バラバラになってしまうような気がしたのだ。