「笑ってる沖田さん?」
「そう。あんなに楽しそうな彼女、初めて見た。あたしの知ってる沖田春野は、誰とも話さない冷めた子だったから」
増田が言うには、中学時代の彼女には友達がいなかったらしい。
決していじめられていたわけではなかったが、いつも一人で、そして無表情だったと。
話しかけても愛想がないから、次第に誰も話しかけないようになっていったそうだ。
「だからわざわざ遠いS高なんかに行ったのかもね。環境、変えたかったんじゃない?」
とても信じられなかった。
あんなに無邪気に笑う彼女が、そんな中学時代を過ごしていたなんて。

