「……お願い。もう、来ないで」 杉本の母親は、春野とは目を合わさないまま、もう一度呟いた。 その場の空気が凍りついた。 俺はただただ、春野の顔を凝視した。 ばさり――。 春野が持っていたひまわりの花束が、手をすり抜け床に落ちた。 そして、春野は一歩、二歩と後ずさりし、踵を返してその場から走り去った。