バスでK病院に向かう途中、春野に知らせる術がないことに気がついた。
電話番号も、自宅も知らない。
連絡先を聞けなかったことをひどく後悔した。
バスに揺られK病院に到着すると、受付で杉本の居場所を確認し、急ぎ足で病室に向かった。
向かった先には、担任の言ったとおり面会謝絶の札が扉に掲げてあり、杉本の様子を窺うことはできなかった。
扉を見つめたまま、大きなため息が漏れる。
その時だった。
こちらに近づいてくる足音に気づき、ふと顔を向けると、ひまわりの花束を持った春野がこちらに向かってきていた。
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