「二人とも、早いよ」
杉本ははぁはぁと大きく呼吸した。
「だけど、大野くん本当に足速いね!わたし、神様がいたら大野くんみたいに足を早くしてもらう。だって、いっつもビリばっかりなんだもん」
「ずいぶん安い願いだな。せっかく神様に頼むのに、そんなのでいいのか?」
俺が鼻で笑うと、
「じゃあ、大野くんだったら何を頼むのよ」
と、春野は頬を少し膨らませた。
「そうだな……一生遊んで暮らせる金かな」
「やだぁ。なんか夢がない」
と、笑いながら俺を少し軽蔑するような目で見た。
「なんだよ。いいじゃんか。金が全てとは言わないけど、あって不自由はしないぞ?」

