杉本は何を考えている?
春野はどう思っている?
二人とも、いつもと何も変わらない。
だから余計に探ってしまう。
川の水面がきらきらと輝いて眩しかった。
すると突然、春野は引いていた自転車にまたがり、
「大野くん!競争!」
と言って自転車を漕ぎ始めた。
「え?」
考える暇もなく、春野は自転車を走らせながら俺の腕を引く。
俺がつんのめりそうになっているのを見て、春野が、
「わたしが勝っちゃうよ!走って走って!あの木がゴール!」
と100メートルほど先にある大木を指差しながら急かすので、俺は体のスイッチを入れて全力で走った。

