結局俺は、体育祭でクラス対抗200メートル走に出場させられた。 全くやる気はなかったのだが、スタートラインについてピストルの音を聞いた途端、スイッチが入り全力疾走し、1位のテープを切っていた。 クラスの女子たちの黄色い歓声ににやりとした。 「すごいね。1位だったんだ。足速いんだね」 ある日の放課後、川沿いの堤防を春野と杉本と歩いていた。 微妙な三角関係に春野は気づいているのだろうか。 俺はちらりと杉本を見た。 杉本はいつものように、穏やかな笑みを浮かべているだけだった。