それは、杉本だった。 「あ」 思わず言葉が漏れた。 すれ違いざま、お互い自転車を止め、立ち止まった。 杉本は、少し驚いた表情で俺と春野を交互に見た。 「よぉ」 俺は何食わぬ顔をして、杉本に声をかけると、杉本は呟くように、 「ああ」 とだけ言った。 「杉本くん、今日は塾?」 俺の後ろから、春野が首を傾げながら杉本を見つめた。