「川原にでも行こうか」 春野の家庭の話を聞いて、どうしてあげたらいいのかわからなかったが、少しでも清々しい気分になれる場所へ連れて行ってあげるのが優しさなような気がした。 「うん」 春野は満面の笑みで頷いてくれた。 「じゃあ、乗りな」 俺は春野の自転車にまたがり、荷台をぽんっと叩いた。 「乗せてくれるの?」 その問いに、にやりと笑って見せると、春野は肩を少しすくめてにっこり笑い、荷台に腰かけた。