「こいつは優等生だぜ。それに女にももてる」
俺がそう言うと、杉本は「そんなことないよ」と言って少し困惑していた。
「そうなんだ。杉本くん、もてるんだ。じゃあ、告白とかされたことあるの?」
春野は飛行機を飛ばすのをやめて、杉本の方に向き直ると、杉本は何も言わず肩をすくめるだけだった。
「杉本はガラスのハートなんだよ」
増田の告白事件のことを含みながら言ったのがわかったのか、杉本は俺をちらりと見て眉をひそめた。
「じゃあ、優秀な杉本くんは将来何になるの?」
「僕は医者になる」
杉本は何の迷いもなく、凛と答えた。

