ふと、杉本が顔を上げ、俺の後ろの方に目をやるので、振りかえってみると、少し離れたところに女の子がしゃがみこんでいた。
他校の制服を着たその子は、俯いたまま少し肩を震わせている。
男にでも振られたのか?
ぼんやり眺めていると、杉本はしっかりとした足取りで堂々と彼女に近づいていくものだから、俺は少し目を丸くしてしまった。
なんとなく俺も杉本の後をついていく。
彼女を見下ろすと、彼女の手の中には小さな雛が横たわっていた。
彼女は華奢な手でその雛を優しく包み込むようにしながら、ぽろぽろと涙を流していた。

