「じゃ、行くわ」 喫茶店を出て、杉本に軽く手を上げた。 「うん。元気でね」 「お前もな」 「うん」 杉本は笑顔を浮かべて、手をひらひらと振った。 杉本に背を向け去りかけた時、俺はもう一度振り返った。 「杉本っ!」 「ん?」 「ありがとう!ほんとに……ありがとう!!」 ロビーに響き渡る声で叫ぶと、杉本はあの日のようにふんわりと微笑んだ。