だから、医者だったのか。 だから、何にでも耐えられる忍耐力、だったのか。 いつか杉本が語っていた夢を思い出した。 「おまけに僕までこんなことになってしまったからさ。母さん、しばらく僕のそばから離れられなくなってしまって大変だった。僕だって、こんな体になってしまった事実をなかなか受け止められなくて辛かったけど、それ以上に母さんが痛々しくてさ。まあ、だからかえって冷静になれて、よかったのかもしれないけど」 杉本は視線を落としたまま苦笑した。