しまった。 教室に置いたままだ。 さすがに授業中にカバンだけ取りに戻るわけにはいかねぇな。 「ちょっくら散歩してくるわ」 そう言って片手を軽く挙げると、 「僕も行く」 と、杉本もついてきた。 お前は俺の飼い犬か。 俺は何も答えないまま、ポケットに手を突っ込みながら屋上を出た。