「大丈夫、優花?」
「大丈夫……って、なにが?」
濡れタオルを片手に、心配げに問う玲子の表情が、安堵したように緩んだ。
「もう、何寝ぼけてるのよ。バレーボールを顔面でレシーブして、ぶっ倒れたのよ、優花」
「ほんと、ゴメンな、如月。わざと狙ったんじゃないから……」
玲子の後ろから、済まなそうに詫びるクラスメイトの男子は、おそらく、あの弾丸スパイクの打撃主だろう。
「あ、平気平気。ちょっと、びっくりしただけだから、気にしないで」
心底申し訳なさそうに頭を下げるクラスメイトに、優花は、ぶんぶんと手を振る。
そうか、私、また夢を……。
だぶん、ボールがぶつかったのは、きっかけに過ぎない。
一時間目の居眠りの時と言い、この夢の見方、と言うより落ち方は異常だ。
何か尋常ならざる力が働いているような気がしてならない。