【黄昏の記憶】~ファースト・キスは封印の味~


ぎゃーーーっ!


あたふたと、胸元を抑えようと両手を上げてみるけどやっぱり上手くいかず、どうしようもなくなった優花は、自分の胸元を隠せる唯一の方法、


つまりが、晃一郎の体に殆ど体当たりで体を寄せた。


結果。


確かに見えなくなった。


見えなくなったが、これではまるで傍から見たら、熱い抱擁を交わす恋人同士みたいだ。


「うんうん、そう見えるだろうな」


笑いを含んだ声が頭上から降ってきて、とっさにに取った行動が更に墓穴を掘ったことに気付いたけれど、後の祭り。


薄い布越しにやたらと熱く感じる体温が、早くなる鼓動に拍車をかける。


ひーんっ。


何よ、このセクハラ大魔王っぷりはっ!