【黄昏の記憶】~ファースト・キスは封印の味~



入院着なんかで、誰かに抱きかかえられるものじゃない。


特に今、優花が着せられているのは、淡いブルーのワンピース型のもので、膝上くらいの長さしかない。


で、下はスースー、素足のまま。


これでいわゆる『お姫様抱っこ』をされているものだから、裾が腿上限界点までまくれ上がって、とんでもないことになっている。


言うまい。


言っちゃだめだ。


『そんなこと』知りませんと気付かないふりをして、さりげなくベッドに戻させ……、


否、戻して頂かなくては。


「こっ、晃ちゃん、もうそろそろベッドに戻してもらえるかな? 少し、疲れちゃったみたいだから、あははは」


「ああ、大丈夫だ。そんなに重くないから、気にするな」


って、違ーう!


こんな至近距離で、耳元に囁かないでっ!