「御堂君……」
「博士。もしも今、ここに瀕死の状態で横たわっているのが博士の奥さんでも、美咲さんでも、それでもやっぱり見殺しにしますか? できますか!?」
今まで必死で抑えていた感情のタガが弾けてしまったような激しい言葉に、博士は長い溜息を吐き出した。
「痛いところを突くね、君は」
「……」
「そうだね。私が君でもやはり、今の君と同じことをするだろうと思うよ。分かった、薬を投与しよう」
ハッと息を飲むような気配の後、聞こえてきた「ありがとうございます!」
という晃一郎の声がすうっと、遠のいていく。
次に、意識が浮上したのは、全身に走った激しい痛みのためだった。
「うっ……あぅっ!」
我知らず、苦痛の呻きが口をついて出る。



