【黄昏の記憶】~ファースト・キスは封印の味~


優しい幼なじみの面影が脳裏に浮かんだとたんに、背筋を這い上がってきた恐怖心に全身が震えた。


――やだ。


いやだっ。


死にたくない。


私、まだ死にたくないっ!


晃ちゃん、


晃ちゃんっ!


晃ちゃんっっ!


何故、その名を叫んでいるのか、優花自身にも分からない。


それは、生物としての死への恐怖。


純粋な、生への渇望。


『優花!? お前、優花なのか!?』


――晃、ちゃん?


『大丈夫だ、必ず助かる。だから頑張れっ!』


朦朧とした意識の下で優花が最後に聞いたのは、


なぜかその場には居ないはずの、幼なじみ、御堂晃一郎の驚きに満ちた声だった。