はあはあと上がる息の下、湧き上がる、たとえようもない恐怖心。
怖かった。
足を止めたら、
追って来るモノに捕らわれてしまったら、
そこで全てが終わってしまう。
自分と言う存在を跡形もなく消し去られてしまう、そんな恐怖心。
耐えられたのは、たぶん、震えるこの手をギュッと握り締めてくれている『彼』の存在のおかげだ。
少女の手を引く、力強い大きな手。
伝わるぬくもりが、ともすれば挫けそうになる心を奮い起こしてくれる。
そう。
少女は、一人ではなかった。
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