【黄昏の記憶】~ファースト・キスは封印の味~


玲子は日頃から晃一郎のことを、


『アレは、ただの女好き!』と公言してはばからない。


まあもともと、どちらかというと、女子よりも男子に厳しいきらいはあるけれど。


それを置いといても、晃一郎の件が、元文芸部の部長で作家志望の玲子の小説ネタ探知アンテナに引っかかるのは分かる気がする。


文武両道な(一応)優等生の突然の変化。


それもあんなに目立つ変化を、この手の事が三度の飯より大好きな玲子が、見逃すはずがない。


その事象の奥に隠されている真実はなんなのか?


様々なピースを繋ぎ合わせて、色々なパターンを想定して、その脳内では多様なストーリー展開が組み立てられているのだろう。


好奇心旺盛を絵に書いたような嬉々とした瞳に見詰められて、優花は、浮かべた笑みが引きつった。


「で、あのヒヨコも真っ青な金色頭の原因はなんなの?」


そんなことを自分に聞かれても、困ってしまう。