【黄昏の記憶】~ファースト・キスは封印の味~


ホッと胸をなでおろす一方で、優花の心にフツフツと湧き上がってきたのは、晃一郎へ対する憤り。


優花は、リュウから聞いてしまったのだ。


一時間目の現国。


優花が眠りに落ちていた時に、リュウと晃一郎の間で交わされたメモの内容を。


『昨夜、彼女は俺と徹夜して疲れているから、起こすな!』


そんな内容のメモを見せられたら、リュウが勘違いするのも仕方がない。


「……晃ちゃん」


すぐにバレるような嘘をつくなんて、どう言うつもりなの?


コートの中で大活躍中の不届者にギロリと鋭い眼光を投げつけ、優花は低い声でその名をつぶやく。


今度、戻ってきたら、問い詰めてやるっ!


不穏な空気を察してか、コート上では、晃一郎が背筋にゾクリと悪寒を走らせていた。