そのたび私は「違う」と答えた。 その隣で直樹は、笑ってるだけで、否定しなかった。 いつも疑問だった。 なぜ否定しないのか。 彼女がいたんじゃなかったのか。 「彼女は大丈夫なの?」 そう何度も聞こうと思った。 だけど何でか、聞けなかった。 あの日以来、直樹も彼女の話しはしてこなかった。 会うことも、連絡を取ることもしてない様に思える。 だけど、彼女も噂を知ってると思う。