「哀?」 呼んでみたけど、反応がない。 全然反応がないから一瞬、人を間違えてるのかと思った。 だけど、そんなはずはないと首を振る。 俺は、哀と同じようにしゃがみ込んで、もう1度言った。 「哀、だよな?」 不安が声に現れていた。 それでも最初は、反応がなかった。 次は辛抱強く待ってみた。 そしたら、やっと顔を上げた。 「直樹……」