その後ろに囲碁盤があった。
頭が畳ぎりぎりにある以上、“その下”も見れたのだ。
四つ足で立つ囲碁盤。足は短く手のひらが入るか危うく、拳にしたらつっかかるような“隙間”だ。
好美にとっては禁句とも言えようワードがある。だが、見てしまった。
黒い暗い隙間。
“真白いだけの目玉”が奥深くにいた。
「っ――」
スタートダッシュのように好美はうつ伏せだった身を立たせた。
走りだし、襖をあけて風呂場に直行。
「わた、わたるくん!」
「はい、なんですか」
浴室の扉を叩く以前に、渉はもう廊下にいた。
風呂上がりらしく濡れた髪にタオルをかぶせて、心なしか体から湯気が出ているような。ともかく。


