不思議少年はかく語る



(二)


好美は水の音が好きだった。


雨でもいい、川のせせらぎでもいい。秀でた理屈はないが、音楽を聞くよりは水の音を聞いていた方がいいと、好美は学校帰りに必ず寄るところがあったのだ。


河川敷。
決して綺麗ではないものの、大きめで浅い川はいい音色を出していた。


制服のスカートが汚れようとも構わず、好美は傾斜に生える雑草の上に座り、ぼーっとしていた。


家に帰らず、端から見れば家出少女に見えるが、どうせ帰ったところで誰もいやしない。


片親で父は出張中で、もう一人でも大丈夫な歳だろうと父は家に好美だけを残しているのだ。


月一どころか、ある日からぱったり、それこそ三ヶ月に一度帰るかどうか。


例え帰ってきたとしても仕事で疲れているらしく、好美とは一切の会話をせずにまた仕事に出かける。