とたとたではなく、ぎしぃぎしぃと干からびた木の廊下を一歩一歩踏みしめるような音だ。
「……」
襖の向こうが廊下だが、透視能力があるでもないし、好美は凝視した。
何せ、おかしい。
居間から出ていった渉の足音は、年期入った木であってもこんなにぎしぎし言わなかった。
なにか、ああ、そうだ、これはとても重いもの。好美の頭には“背が高い何か”が想像された。
「わた、る、君……?」
そうであってほしいの望みが含まれた声色だった。
ぎしぃ、ぎしぃ――
踏みしめる足音が止まった。一番聞こえやすい場所、つまりは襖の前で。
好美は生唾を飲んだ。
一番安全な場所と聞いていたのに、“アレ”はなんだ。


