学生帽もマントの横にあるフックにかけて、頭を手ぐしで整えながら、渉は茶箪笥から湯飲みと急須を出した。そうして、茶の葉があるであろう抹茶色の筒も出す。
「座ってくださいよ。くつろいでも怒りませんよ」
「あり、がとう」
改めて自分は客人なんだと座り、こたつに足を入れた。
――あたたかい。
ほかほかと猫ならばゴロゴロ言ってしまうような温度だった。
ほわんとやっと一息つけた気分になる。
――あれ。
そうして違和感。
温かいのだ。まるで、ずっと前からそうであったように。
こたつをつけたばかりでこの温かさは味わえないだろう。
自分たちが帰ってきたのは今だ。それに渉がこたつをつけた素振りも見ていない。


