踏み外すことはないだろうが、渉がそうしているように好美も一段一段確実に足を進めていった。
ざりっ、ざりっ。足音に妙に聞き入ってしまう。
米を擦っているような、実際には小さな石屑を靴で擦っているのだろうが。
黙々と歩き続け、少し疲れてきたところで、終わりはまだかと好美は顔をあげた。
「っ……」
ひきつった声は渉まで届かなかったらしい。
階段の先。
終着点から少し下の位置に、黒く丸まったものがいた。
下から覗いた時は闇と同化して分からず、登っている最中も足元ばかりを見ていたので、今初めて気づいたのだ。
黒くて丸いもの。
丸いというが、形の詳細を言えば丸よりは歪だった。


