ハンカチを好美に渡し、撫でていた手を引っ込めた。
「火傷したくないならば、触れなければいい。ならば、会いたくなければ逃げればいい。口承にあるメリーさんの結末は必ず『後ろにいる』です。
そこに来るまでメリーさんはご丁寧に“助かる猶予”をくれるんですよ。あれは徐々にそちらに向かっているわよと恐怖を沸き立たせる裏に、『まだ後ろにはいない』と言っているものなんですから」
空いた手に例の手帳を持ち、パラパラと捲っていく。あるページに止まり、目を細めた。
「そも電話に出なければいい。後ろに来るならば背を壁につければ、メリーさんは壁に埋もれて身動きができない。シュークリームをあげるは試したことがないんでどうかは分かりませんが、まあ口裂け女のべっこうアメとルーツは同じなんですかね。
そうしてあなたがやったこと。メリーさんが来る前に家から逃げるも対処法として含まれます。メリーさんの結末は、全て“家の中”で起こることですから」


