「っ、わたるく、ん……っ」
好美からしたら奇跡に近かった。
いたのだ。
間違えようもない、一昔前の学ランスタイルの少年は目立つ。
間違いなく渉だと、好美は呼んでみせたが――呼吸を制限していた状態の呼び止めは届かなかった。
「わた、る……っ」
呼び声に気づいたわけでないが、走る音が大きく、呼ばずとも渉は振り返った。
足を止めて、こちらに来るのは好美と知るなり、虚をつかれたように驚いていた。
「どうし……」
「あ、うぅっ、めっ……がっ。めりっ、がっ」
渉にたどり着いた好美はボロボロもいいとこだった。
救世主にあった難民らしく、好美は泣きじゃくり、渉にすがりついた。


