不思議少年はかく語る



――まだっ、遠くには行ってないはず。


ただし道は一本道じゃない。二手に分かれる道に少なくとも二回は出くわした。


そこに渉が通った痕跡などなく、勘を頼りに好美は二度とも右に曲がっていた。


言ってしまえば、好美の選択に間違いはなかった。


これは勘というよりは人間の心理に近い。


右か左。二つ道があり“選択しろ”と言われれば、人は利き手の方向に曲がるのを好むという統計ができている。


渉は右手にペンを持っていた。ふらふら散策を決め込むならば、無意識下に右を選ぶ確率が遥かに高いだろう。


もっとも、これはあくまでも可能性の話しとしてでしかなく、好美が渉に会うかどうかは以前と分からぬままだったが。