『わたし、メリーさん。今、月見高校にいるの』
と、同時に受話器は置かれた。
「……、え」
一瞬遅れて、通話口から音漏れした“声”に気づく。
ハンズフリーにしていたわけじゃないのに、か細いながら聞き取り可能な声。
それは言ったのだ。
『月見高校にいる』と。
月見高校とは、好美が通う高校だ。
なぜ相手が月見高校にいるとわざわざ好美に報告するのか、何を示唆しているのかはあれだけでは読み取ることはできないが。
言ったのだ、それは。
『わたし、メリーさん』
そう名乗った。
「うそ……」
メリーさん、メリーさんメリーさん。
反復する響きが頭から離れない。
メリーさんと名乗り、場所を言ったからには、“つまりはそういうこと”なんだろう。


