不思議少年はかく語る



――汗が。


全速力で走ったからか、首筋と背中がねっとりとした汗が乾いた感覚がある。


シャワー浴びたい。お風呂入りたい。思うも、あの女の顔を思い出すだけで身震いする身だ、そんなワガママは他所にやる。


――お腹も空いていないし。


前はよく食べていたが、今となっては好美はほとんど食事を取らなかった。だからといってダイエットにはならず、見る分には顔色も良く、ぜい肉も減ってはいない健康体だから好美は食事から縁遠い場所にいた。


寝ようと思ったとき、無機質な音が鳴った。


リリリリ、リリリリ――


静寂を打破するそれは、よくリビングに響いていた。


好美が真っ先に思ったのは、珍しい。


父親はいないし、友達もいない現在、この家に――好美に電話する人などいないはずなのだ。