暗示をかけて不安を拭う。
走ったことにより喉が渇いたらしく、好美は玄関で靴を脱ぐなり、キッチンへと向かった。
無印で買った、模様がないグラスに水道水を注ぐ。
ミネラルウォーターじゃないのは、父が訪問販売に負けて買った浄水器が蛇口に取り付けてあるからだった。
氷ない水でも、気温が低いからか喉にきーんと来る。
かき氷の不快感みたく好美は目を細めた。
――お風呂、どうしようかな。
これからの行動を考え、習慣と時間的に考えれば入浴が妥当だが――警戒がとけていない今、どうにも入浴するのはためらわれる。
裸になるとは無防備であるのと同じで、それならば逃げるしかないが、裸で外に出るのはできない。
いや、危機的状況になれば裸で逃げる云々にためらいはでないだろうが。その事柄が回避できるなら、避けて通りたいものだ。


