「ふざけ……っ」
「ふざけてなんかいませんよ。事実です。ポマード言うにしろ、べっこうアメ投げるにしろ、対処法はあった。アレは都市伝説にしては有名すぎますからね。それが分からない年齢には見えませんが?」
「それは……」
知らなかったわけではなかった。べっこうアメはないので投げれないが、ポマードに関しては好美とて知ってる。
口裂け女はポマードが嫌いらしく、三回言えば逃げる。対処法は確かに知っていたが、あんな恐怖を目の当たりにしてしまえば、ともかくも逃げろとしか思えないのだ。
これがもし、口裂け女が流行った時ならば、自分もいつか会うかもしれないと“心構え”ができたであろうが、噂が風化した今、いきなり出くわした恐怖には薄れかかった対処法が呑み込まれる。


